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講演のあと、楽屋を訪ねることが許されていたのは、どうやら、栗城くんと以前に縁のあった知人や仕事関係の人だけだったらしい。
「栗城くんと同じ北海道出身の者ですよ」という挨拶だけで、警備を振り払って、部屋の中まで入って行ったのは私だけのようだった。
狭い楽屋の中で栗城くんと挨拶を交わしている人たちの様子で、そのことに気がついた。
でも、いまさら後には引けない状況。
思い切って栗城くんに近づき「私、北海道 根室の出身で、今は東京で働いています。週末は山登りばかりしています。」と怪しげな自己紹介をすると、栗城くんはいやな顔ひとつせず、「そーですか、根室ですかぁ!」と元気に笑顔で答えてくれました。
良かニセたい!(薩摩風)
この後、ずうずうしくもサインをもらって、一緒に写真をとって、握手までしました。
これぞ「一歩踏み出す勇気(=栗城くんの著書のタイトルに同じ)」です。
ナマ栗城史多くんとの感激のご対面。良き日なり、良き日なり。
標高7000mの単独キャンプC1に到着。
小さな登山家 栗城くんの単独無酸素によるエベレスト(8848m)挑戦は、いよいよ最終ステージに入ったようだ。
現地から毎日更新されるブログと映像からも、日増しに高まる緊迫感が伝わってくる。
山頂アタックは、今月末の予定。
あとひといき、がんばれ栗城!
そして、その前に明日14日にはYahoo動画ネット中継企画「ギネスに挑戦!世界最高峰でカラオケを歌う」が控えている。
これは、先週の「ギネスに挑戦!世界最高峰で流しソーメンを食べる」に続くネット中継企画モノ第2弾。
資金集めのために、この手の仕事まで山へ持ち込んでいるのかと思いきや、どうやら本人は根っから楽しんでやっているようだ。
見ていても楽しい。
今回も期待しているぜ。
今も白馬岳の山頂にある、その「風景羅針盤」という石灯籠を見てみたい~というのが、実のところ、今回の白馬岳登山の目的のひとつだった。
映画「剣岳 点の記」の原作者 新田次郎氏のデビュー作「強力伝」は、この風景羅針盤の胴体部分にあたる2つの定石を、麓の二股(ふたまた)から山頂まで一人で担ぎ上げた男の実話をもとにした短編小説だ。
その重さは、1つが50貫というから、現在の目方で約200kg。この石を1つづつ背負子にくくりつけて、あらかじめ登山ルート上に計画した数十箇所の中継地点まで往復しながら、交互に担ぎ上げていったという。
今回われわれが計画していた白馬岳登山では、この強力と同じルートを踏む予定だった。
結局、天候にめぐまれず、強力伝ルートの5分の1も体験することができなかったが、その風景の一端は垣間見ることができた。
昭和初期の登山スタイルというのは、現代のような登山装備と比べれば、剥き身に近い。そんな格好でこの岩場を登ったのか。
その上、登山ルートのスタート地点も、現在のように猿倉(さるくら)ではなく、さらに麓に近い二股だったのだ。今でこそ、舗装道路を走る登山バスなら30分で登るこの二股・猿倉の間を、その男は石を担ぎ上げるために、2日間もかかったのか。
200kgの背中の重さで踏み出す足が大雪渓に沈み、沢の水音に苛立ち、白馬尻小屋で息も絶え絶えになる、といった小説の中の描写が、現実に目の前にあった。
というわけで、撤退を余儀なくされた白馬岳のあと、ぽっかり空いた時間で「強力伝」を読み返して、今回の白馬岳登山のしめくくりとした。
朝から降りしきる雨の中、北アルプスの北端 標高2932mの白馬岳山頂をめざし登ること1時間、いよいよ強くなる雨に顔までずぶ濡れとなって、ようやく白馬尻小屋に到着したところで入山禁止のアナウンス。
これより先の橋が、増水のため通行不能とのこと。
びしょぬれの登山客でごった返す小屋の中は、この突然の入山禁止にアナウンスに、意外にも冷静な反応。
これも、北海道 大雪山で前日に起こった登山事故の影響か。
団体登山ツアーらしきみなさんも、「こんなにびしょぬれになって、すっかり登る気力が萎えちゃったねぇ」と。
大雪渓を目前にして、あえなく撤退。
ふたたび雨の中、登ってきた道を1時間かけて下山。
登ってきたときの登山道は、下山時には川へと様変わりしていて、水の流れに何度も足をとられそうになった。抗いようのない自然の力に、正直「怖い」と思った。
「山はねじ伏せて制覇するものではなく、山の神様に登らせていただくもの」と、あの小さなアルピニスト栗城くんがよく口にしていたっけ。
こういうことが有るのも、自然相手なら致し方無し。
というわけで今回の白馬岳遠征の収穫は、その姿だけ拝んだ大雪渓と、上村愛子さんおすすめの信州そば「林檎舎(りんごや)」の三色蕎麦(旨い!)くらいだった。
写真も、ほとんどこれっきり。撮影する余裕すら無かった。
白馬岳よ、次回は登らせてください!
小さな登山家 栗城史多くんのヒマラヤ8000m峰ダウラギリ山からのインターネットライブ中継は、昨日15日の昼間に無事終了。
昼休みにパソコンの前に座って、じりじりしながらYahoo動画でダウラギリからの不安定な生中継を観ていた方もいたのでは?(見逃した方、アーカイブはこちら)
「8000m峰からの世界初インターネットライブ中継を成功させる」という重圧が、これまで栗城くんの両肩にずっしりのし掛かっていたことは想像に難くない。
その中継も無事終って、ここからがソロアルピニスト栗城史多の本当のダウラギリ挑戦のはじまりだ。
現在は、スタッフたちと一緒だった標高5000mのベースキャンプをひとり離れ、標高6500m付近まで上り、テントを張った様子。ここから先は「デスゾーン」といわれる領域へ、単独・無酸素のまま足を踏み入れていくことになる。
標高8167mのピークアタックまで、あと4日。いよいよ大詰めだ。この週末も目が離せない。
八ヶ岳の主峰 赤岳のてっぺんから、昨晩、無事帰還。標高2899mの山頂からの眺めは、ただただ圧巻。
白い尾根でつながる八ヶ岳連峰の荘厳な山々が、霞の上に浮かんでいるよう。
その中心に自分が立っているような錯覚を憶える。初日、雪と強風の中、標高2600mにある山荘で一泊。翌朝、山荘の背後に覆いかぶさるような赤岳山頂目がけてピークアタック。
ここから一気に麓の八ヶ岳山荘まで下って、生ビールで祝杯、そして入浴。風呂上りに再び祝杯。
このころには、前日の山荘での恐ろしい一夜のこともすっかり忘れて、全身トロけてしまった。相方のT氏も、至極ご満悦のご様子。次回雪山第四弾は、夏の白馬岳の大雪渓に決定(日程は未定)。まだまだ雪山はつづきますよ。